11/7 学校だよりNo.8

学校だよりNo.8を本日配付いたしました。HP「お知らせ」→「学校だより」にもアップしました。下記をクリックしても読むことができます。どうぞご覧ください。以下、巻頭言を掲載いたしました。

星と稲R2-8

~巻頭言~
先月6学年の子どもたちと一緒に修学旅行に行ってきました。いつもの年なら6月に行くのですが、コロナウイルス感染拡大予防のため、市内小学校の多くが秋実施になりました。子どもたちもそうですが、引率教員も秋の修学旅行は初めてでしたので、コロナ感染対策も含めて、緊張感のある旅行でした。とはいっても、素直で明るい子どもたちです。旅行を大いに楽しみ、海で戯れていました。(修学旅行の様子は裏面をご覧ください。)

その中で、忘れられない印象的なシーンがありました。それは、佐渡奉行所に向かうバス車中のことでした。ガイドさんに促されて見た窓外には、トキが十数羽、田んぼで餌をついばんでいました。しばらくすると、バスからの熱い視線を感じたのか、トキたちが一斉に飛び立ちました。朱鷺色の翼は青空の中で、輝いていました。ほんの一瞬のことでしたが、今でも、この光景が目に焼き付いています。私たち世代は、徐々にトキが個体数を減らした末、一斉捕獲し人工飼育していく過程や、日本生まれのトキのキンとミドリでは繁殖が上手くいかず、結局、絶滅してしまい、その後、中国からの協力を得て人工繁殖の末、ようやく数を増やしてきたことを、オンタイムで新聞やニュースで見てきました。ですので、大空に舞うトキを目の当たりにして、感激もひとしおでした。

トキの野生復帰は、簡単でも偶然でもありませんでした。トキを繁殖させ、育つ環境を整えるには、多くの人々の理解と協力が不可欠でした。繁殖の難しさ、水生生物を育てるための農薬の制限、餌を育てるための放置水田の耕作…、長い年月に渡る困難の連続でした。そうまでして人々がトキの野生化を目指したのは、一つは生物多様性の維持のためですが、他にもう一つ、人と共に歩んだ日本の風土のシンボルとして、トキの存在価値が挙げられます。学名であるニッポニア-ニッポンが示す通り、トキの舞う姿は日本古来の風景でした。美しい魚沼の水田風景にもトキは舞っていたのです。現在、佐渡島の内外に600羽を超えるトキが生息しているそうです。魚沼の空をトキが舞うのも遠い将来でないかもしれません。

さて、絶滅危惧種保護に取り組むのは、佐渡や日本だけではありません。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標SDGs(エスディージーズ)の中にある「15 陸の豊かさを守ろう」には、生物多様性を守るために、絶滅危惧種の保護と絶滅防止のための緊急対策の実施について言及されています。このSDGsについては、新聞やテレビでも取り上げられることが増えているのでご存知の方も多いと思います。差別や貧困、環境破壊、気象異常等の世界共通の課題についての取組が掲げられています。トキの野生復帰は、地球規模で考えればわずかなことかもしれません。しかし、人々が理解し、学び、協力して行動することによって、トキの絶滅を防げたことは、これからの取組に示唆を与えることになるでしょう。コロナ禍がなければ、2020年は、10年後の2030年のSDGsのゴールに向けて、10年の取組のスタート年に当たり、世界的なムーブメントが起きているはずでした。しかし、コロナウイルスのパンデミックは、世界経済を打撃し、国と国との関りを絶ち、SDGsの歩みは止まったかに見えます。しかし、逆に国際協力、協調の大切さはより明らかになりました。SDGsの目標には「パードナーシップにより、誰一人残すことなく目標を達成する」ことも記されています。今を生きる我々には、互いに連帯して平和で平等で豊かさを共有した持続可能な世界を目指す大きな宿題が課せられているのです。

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